本文へスキップ

手記

 
  切羽詰まるも過ぎれ楽し
  2002.6.4
今回の劇団神戸の芝居の音作りは、私と劇団両方の事情が重なって、いつも以上に遅れました。
それで、演出の夏目先生は、数日間隔で我が家にお越しになり、演出の固まった箇所から音楽の打ち合わせを行い、進めて行くという状況でした。

公演もそこに迫りましたので、もう書いてもいいでしょう。
実は、今回依頼された特殊な効果音とは、いろいろなオナラの音でした。それもリアルな音では面白くないので、楽器の音で作って欲しいということでした。最初はシンセで作ろうとしてみたのですが、どうも上手く行きません。そこで止む無く、娘のトロンボーンを借りて、といっても私はトロンボーンなんて演奏できませんが、オナラの音ならむしろ下手な方がいいだろうと挑戦したわけです。
やってみると、難しいもので、たぶん百回以上は吹いたでしょうね。
その音をサンプラーに取り込んで、ピッチを変えてみたり、エフェクトをかけてみたりして何とか出来あがった次第です。
夏目先生が来られて、二人で「どのオナラの音が良いか・・・」真剣な表情で検討しているところを、コーヒーを入れてくれた家内に見られてしまいました。

そんなこんなで、今回は私も夏目先生も切羽詰った心境ではありましたが、顔を会わせると、ついつい、いろいろな話に花が咲きます。
ちょうど、今、神戸新聞の日曜版に「わが心の自叙伝・夏目俊二」が連載され、毎週その執筆にも追われて居られるそうです。
歴史的にも興味深い話が脈動的に展開されます。新聞掲載だけで終わるのはもったいない、是非本にして残してもらいたい内容です。
話は自然に過去のエピソードにも及び、当時の珍談奇談まで聞かせていただきました。
中には「切羽詰る」なんて通り越した、世にも可笑しくも恐ろしいエピソードもあり、「その話そのまま芝居にしてくださいよ」とお願いしたほどです。