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手記

 
  大楠公670年記念 奉納曲 2007.5.2
  吟剣詩舞日本のプラハ公演から帰国すると、湊川神社の栃尾宮司(現在は橿原神宮宮司)から、『荒井神社(高砂市鎮座)の廣瀬宮司が作られた大楠公の詩を頂戴したので、その詩に曲を付けてもらえませんか』という、ご依頼を受けました。
湊川神社は言うまでもなく楠木正成公(大楠公)をお祀りする名社です。本年は大楠公の湊川合戦没670年に当たり、湊川神社では記念事業として御社殿が大改修されました。
その御竣工を御祝する「本殿遷宮奉幣祭」において発表・奉納してもらえれば・・・とのご希望でした。また、できれば歌も神職の何方かにお願いしたいと考えておられる様でした。

廣瀬宮司より提供された詩は、荒井神社のお祭で行なわれる「ニ輪加太鼓」の為に作詞されたもので、物語形式の長いものです。それを栃尾宮司が歌曲用にまとめられたものにメロディーと伴奏を付けることになります。
楠公さんの歌といえば唱歌「青葉茂れる桜井の」があまりにも有名ですから、それとは異なるイメージのものにしなければなりません。
また、曲調についてはジャンル性の明白な曲調は避けたいと考えました。

当日まで1ヶ月近くありますが、歌の練習期間が必要なので、急ぎ作曲して譜面と伴奏のデモをお届けしました。歌は、栃尾宮司のお知り合いで、等彌神社(奈良県桜井市鎮座)の佐藤宮司に依頼されました。佐藤宮司は学生の頃コーラス部に所属され、現在も市民コーラスを続けておられます。
 
練習風景(湊川神社パンフレットより)
  奉幣祭の朝を迎えました。(前夜は、遷座祭といって、完成した御本殿に神様をお遷しする神事が行なわれました。)
午前11時より御社殿内にて神事が行なわれ、引き続き御社殿前の特設舞台において、まず大阪雅楽振興会による舞楽「雅殿」、次ぎに原笙会による「平安の舞」、そして最後に歌曲「大楠公」の奉納になります。
天気予報は晴一時雨ということでしたが、次第に良くなるようなので一安心です。8時半から音響さんと仕込みを始め、9時半頃音合わせを終了しました。

雨の心配がなくなりほっとしていたのですが、天候が良くなり過ぎたために機材に思わぬアクシデントが生じました。神事が始まる前に最終的に機材を確認してみると、強い日差しと暑さの為に液晶ディスプレイが真っ白になって何も見えなくなってしまっているのです。こういうのが野外演奏の恐さです。
音響さんに相談すると、野外ではよく起こることらしく、ディスプレイの上に濡れタオルをかぶせてくれました。使い慣れている機材なのでディスプレイが見えなくても操作はできると思うのですが、熱で機材の内部がやられてしまう可能性もあります。
本番間際、濡れタオルを上げてみると、ディスプレイは薄っすらとですが回復していました。
   
雅殿 大阪雅楽振興会
   
平安の舞 原笙会
   
歌曲 大楠公 作詞:廣瀬明正/歌:佐藤高静/作曲・演奏:小野尊由
   
大楠公の鎮まります御社殿を仰ぎながら演奏させていただき感銘もひとしおでした。
  奉納歌曲大楠公 伴奏曲