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手記

 
  夏目俊二氏を偲ぶ会
  往年の映画スターで、後劇団神戸を主催されてきた故夏目俊二氏を偲ぶ会が、平成27年4月5日に劇団のホームグランドともいえる風月堂ホールにおいて催されました。
夏目俊二氏との出会いは、私が二十代の頃に就いていた作曲の師が劇団神戸の公演の音楽を担当された折でした。その時の舞台音楽は生演奏で行われました。私は師のアシスタントとして写譜をしたり、劇団の稽古から本番まで関わらせていただき、舞台について多くを学ぶことができました。夏目氏の夫人小倉啓子さんは、当時は未だ独身で劇団の花形女優でした。
その公演の後は何年もお会いする機会がなかったのですが、私が吟剣詩舞の音楽をさせていただくようになった頃に縁あって再会することになるのです。吟剣詩舞のある企画舞台に俳優さんたちが必要になりました。そこで劇団神戸に出演のご依頼をしたところ快くお引き受けくださり、ご本人だけではなく、小倉啓子さんはじめ劇団員の方々がこぞって出演していただけることになったのです。
この再会をきっかけに今度は劇団の方から舞台音楽の依頼をいただきました。昭和62年「源氏物語殺人事件原作:長尾誠夫」の舞台化で演出は栗塚旭氏でした。それから30年余り、劇団神戸の舞台音楽をたくさん担当させていただきました。その間、吟剣詩舞の舞台にも小倉さんとご一緒にたびたび助演して頂いたこと、また毎年元旦にはご夫婦で私が宮司を務める神社にお参りくださったことなど、長年の記憶が次々と蘇ります。
夏目氏から舞台音楽について学んだことは多く、そのことに感謝しつつ列席させていただきました。
今後は小倉啓子さんが劇団を率いる重役を背負われるのですが、持ち前の明るさと演劇への情熱で、いい舞台を作って行かれることと思います。